次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

校長の自戒(4)

校長の自戒(4)

⑥「挑戦して失敗するのか、挑戦することに失敗するのか」

 ワクワクドキドキする挑戦を大事にする。挑戦しようとする人を皆で応援・支援する文化を尊重する。全員で達成の喜びを分かち合い、成果を共有していくことのできる教職員集団を目指す。
 前年踏襲の既定路線を継続していくだけの学校経営より、児童生徒が向上し、学校がよりよくなっていくための新たな挑戦を大切にする。何の為か誰の為かを問い、負担に対する効果を検討し、本当に必要な仕事なのかを見極めながら、やらない失敗より、失敗しながらも修正しながら挑戦していく学校づくりを進める。同時に、これまでの当たり前を見直し、スクラップビルドを実践していく。

⑦成功は子ども達・教職員のもの

 スポーツの世界でも優れた指導者の多くが、「勝ったら選手のお陰、負けたら指導者の責任」という姿勢をもっている。学校内で素晴らしことが起きたなら、それは、子ども達や準備・計画・指導してくれた先生方のお陰。
 教職員の失態や学校内で起きているトラブルなどは、自分の責任として背負っていく。
⑧自分がいるときだけ良ければ良いという発想をもたない。
 学校経営を進めるにあたって、自分がいなくなった後も継続して安定して向上していく学校づくりを目指す。勝負は次の人にどれだけよいバトンを渡せるか。
 どのような施策も、一過性のものではなく、継続して向上していくものにしていくことが必要。そのためには、中長期的に学校が向上していく仕組みと人材を育てていくことが不可欠となる。

⑨目指すべき根本を肝に銘じる

・子ども達が通って良かったと思えること
・保護者や地域の方々が子ども達を通わせて良かった思えること
・教職員がこの学校で働けてよかったと思えること
 
 

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校長の自戒(3)

校長の自戒(3)
⑤「和して同ぜず」(「和」は大切にするが仲良しこよしにはならない・異なる意見も大切にする)
 教職員の中には、常に反対する人やうるさく意見を言う人がいるもの。自分の思い通りの学校経営を目指すために、自分の意見に逆らわず賛同する人ばかりで身の回りを固めてしまうことは学校全体にとって危険な行為となります。校長個人には快適な学校経営推進ができると感じるかもしれませんが、組織の弱体化を招くとても危険な面があります。異質の考え方や意見を持つ人はどこの社会にも存在するものです。そのような存在の中に、組織を強化し向上させていくポイントやヒントがある場合が多いものです。
 多様な考え方や意見も包容しながら、全員が協調して頑張ることのできる組織こそ本当の強さとしなやかさをもった組織なのではないでしょうか。
 特に、校長を補佐する教頭や学年主任などには、校長の言うことをただ聞くだけでなく、校長に対して自分の考えを進言することも大切にしてほしいと思います。(校長以上にそれぞれのポジションで現場を理解している立場なのだから)
 校長には、こうした気風を大切にしながら、組織と人材を育てていくことも重要な仕事です。反対意見を力でねじ伏せるような言動は人材と組織の向上の機会を奪いかねません。
 

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校長の自戒(2)

④「人を残す」のが校長の一番の仕事
「名誉を残そうとするのは下。仕事を残そうとするのは中。人を残すのが上。」
 校長に着任すると、在任中に自分の力で成果(手柄)をあげたいという要求が起きてくる。これは自然なことであり学校を向上させていく力にもなる。大切なのは、それは誰のために(目的)、どのようにして(方策)、どのような道筋で進めていくか(実行・推進)です。
 冷静な判断を行っていくには、個人的な名誉や力を証明するための思いを排除する必要があります。自分のために結果を急いでしまうと、働く教職員の意欲が低下してしまう恐れがあります。例え結果を出すことができても、校長が替わるとその成果が一過性のものとして失われていくだけでなく、弊害が残る危険性もあります。
 「仕事」が残れば、その成果(方策や実行・推進経験)が学校に継続して残っていくことにつながります。さらに、仕事での経験を通じて「人」(教職員)が育てば、その成果はその学校に留まらず、多くの学校を向上させていく未来の力になっていきます。
 

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校長の自戒(1)

校長の自戒(1)

①「上がりの校長」にならない。

 (校長になることが「上がり」=ゴールという校長)
 校長になることは、新たなチャレンジのスタートです。校長になること自体を目的(ゴール)と捉えてしまうと、「事なかれ」の姿勢に陥る危険性があります。それは巡り巡って、学校の危険リスクを高め、結局自身か後進が大変な思いをすることになりかねません。勢いを失った組織におけるマイナス要素は、数年間にわたって様々な形で学校全体に影響(危機)を残していくことになります。現状維持は後退以外の何物でもありません。前進し続ける姿勢こそ最大の危機対応となります。常に「攻め」の姿勢を大切にしたいものです。

②「たこつぼ校長」にならない。

 (たこつぼ校長=校長室から出てこない校長のこと)
 校長室での沈思黙考も重要。しかし一日中校長室から出てこない、教職員と会話もしない、子ども達の様子を見にも行こうとしない「たこつぼ校長」にはならないように注意しなければなりません。
 「事件は現場で起きている」とは学校も同じ。現場とは、教室でありグランドであり体育館であり保健室であり教育相談室であり給食室であり…。校長室に閉じこもっていては、日々変化していく現状を把握できず、正しい理解と判断はできません。

③「唯我独尊」にならない。

(自分のみが正しいという危険)
 学校のリーダーたる校長は、常に正しい判断が求められます。とは言え、迷うことも多く、どう判断をしてもリスクはついてくるものです。時には、出した判断を結果的に正解に導いていく努力も必要になってきます。
 判断に至るまでには多面的・多角的で柔軟な考察が必要であり、多くの意見や考え方に日頃から耳を傾けておく必要があります。管理職がこのような姿勢を大切にしている学校では、教職員の学校経営・運営に対する参画意識も高くなり、皆で危機や課題を乗り越えていこうという機運が生まれてくるものです。
 反対に、常に自身の考えを一方的に教職員に押しつけてばかりいると、新たな考えや違う角度からの意見は出てこなくなるだけでなく、校長の顔色を伺ったり、どうせ言っても通らないというあきらめのムードが広がったりしていきます。そのような学校は、リーダーである校長一人の力量のところまでしか向上していかないものだと思います。沢山の教職員を信じ、可能性を伸ばすことこそ、長く安定して発展していく学校づくりの力の源泉となると思います。
 

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人は二度生まれる ~未来を創る、こどもたち。未来を育てる、私たち~

人は二度生まれる ~未来を創る、こどもたち。未来を育てる、私たち~

 いつまでも「子ども」だと思っていた生徒達が、いつのまにか大人びた面を見せるようになります。「自分のことを大人だと思いますか、子どもだと思いますか?」と聞かれたら、どのように考えるでしょうか。中学生になる前後から成人する頃までを「青年期」と言います。また、子どもから大人への境目にあることから「境界人」などという言い方もあります。
 この時期は、心身ともに大きな成長と変化を伴います。中には中学校での3年間で30cm~40cmも身長が伸びる生徒もいます。幼さを残して入学してきた生徒達が、いつの間にか逞しい姿となっていきます。
 身体的な変化とともに、心理的な面においても大きな変化が表れてきます。興味や関心をもつ対象が変わりったり、友達関係などでもそれまで見られなかった面を見せたりもします。自意識が高まり、物事に対する捉え方や価値観も変化してきます。これまであたりまえだと思っていたことにも疑問を持つようになり、周囲に対して、生意気な言動を取ったり、急に無口になったりすることもあります。
 いわゆる「反抗期」と言われる状況が訪れるのもこの時期の特徴です。感情の起伏が激しく、いつもイライラしていて、何を考えているかも分からず、どのように接して良いか思い悩む保護者も多いのではないでしょうか。本人も様々な不安や葛藤を抱いているものです。周囲はこの時期を理解し、正しく乗り越えさせていくようにしなければなりません。将来の自立への大切な時期なのですから。
 かつてフランスの思想家であるジャン・ジャック・ルソーはその著書『エミール』の中で、子どもから大人への変化について「第二の誕生」と表現しました。第一の誕生は、母親からこの世界に生まれてくる生命としての誕生を指しています。第二の誕生は、精神的に親から自立して社会的な存在として生きていこうとする独立した心の誕生を指しています。青年期とは、自分を確立していく大切な時期です。自他の存在について考え、生きていくことの意味や社会で役立つことの大切さ、自分を必要としてくれる存在があることを認識する時期でもあります。
 周囲の大人には、やがてやってくる未来への巣立ちのために、温かく見守り育んでいく姿勢が求められます。
 

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レンガ職人の話

レンガ職人の話

 子どもたちに対して繰り返ししてきた話があります。それは、イソップの「レンガ職人」の話です。次のような内容です。
 ある旅人が道を歩いていると、同じ作業をしている3人の職人に出会いました。旅人は3人に同じ質問をしてみました。「あなたは何をしているのですか?」
 一人目の職人は、辛そうな表情で「レンガを一つ一つ積んでいるんだ」と答えました。
 二人目の職人は、「生活のために壁をつくっているんだ」と答えました。
 三人目の職人は、目を輝かせながら「歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ」と答えました。
 この話は、仕事の目的をどのように捉えるかで、仕事への意欲や張り合いが変わることを教えてくれています。「ただレンガを積んでいる」のと「歴史に残る仕事をしている」のとでは、当然「やる気」にも違いが出るし、結果にも大きな差が出るだろうということは明らかです。
 子どもたちは、日々学校に通いながら勉強することや身体を鍛えること、行事や委員会・係活動、部活動など様々な活動に取り組んでいます。それらは「何のためなのか」を改めて考えてみることが大切です。
「やらされている」「やらなければいけないからやる」のと、「未来のため」という意識で主体的に取り組むのとでは、同じ事をしていても、大きな差となって現れてくるのではないでしょうか。
 国際的な学力調査の結果から「学習に対する意欲の低さ」「何のために学んでいるのか分からない中での学び」「受験とともに剥落(はくらく)する知識」などの課題が、日本の若者の傾向として指摘されてきました。
 同時に、将来の夢や希望を持つことや、働くことについて早い段階から学習することが、学力向上にも人格の形成にも大変重要であると強調されています。
 働くことと学ぶことをつなぐ「キャリア教育」や、学校と社会を結びつける取り組みが重視されるようになってきているのも、このような背景があるからです。社会人から直接学ぶ機会を積極的に設けることも大切にしたいものです。
 将来どのように生きていくのか、何故高校・大学などを目指すのかなどについて考えること。そして、自分自身(得意、特性等)について考える機会をもつことは、とても重要な時間となります。
 子どもと大切な時間を共に過ごす教職員も、常に未来志向の教育を目指していきたいものです。

レンガ職人 に対する画像結果

 

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教師の存在

教師の存在

○子どもにとって、「最大の教育環境は教師である」と言われます。
・優しさや温かさを持った先生の下では、子どもたちも優しさや温かさを大切にするものです。
・分け隔てをすることなく一人一人を大切にすることのできる先生の下では、子どもたちの中に自然と人権意識が育っていくものです。
・先生の好奇心や探求心は、子どもたちの好奇心や探求心に火をつけます。
・先生の情熱や前向きさ等といった人としての「熱」が、子どもたちの心に伝わっていくと、情熱や意欲等を注ぐもの、将来への夢や希望を子どもたちも探し求めるようになっていきます。
・教師の人格的な向上の原動力は、子どもへの思いやりある眼差しや一人一人を理解力しようとする真摯な姿勢です。

○教師をしている限り、楽なことより大変なこと、忙しい日々も沢山あります。辛い時もあり苦しい時も多い。心傷つくときもあるかもれない…でも、子どもたちの前では、心に春風のような爽やかさや日差しのような温かさを大切にしたい。
・先生に明るさや温かさ、意欲やゆとりがあることが大事。
・話すことばかりでなく、聞くことを大切にしましょう。
・よい教師は子どもとともに成長するものです。

○教師が伸びている学校(学級)では、子どもたちも生き生きと成長しています。 (その逆もしかり)

○教育に携わることは、目の前にいる子どもたち自身の未来を育てることであり、子どもたちが生きていく未来を育てることです。教師自身の未来を育てていくことも大切にしましょう。 

「教育の仕事は、未来を建設する仕事」(『教えるということ』大村はま著より)

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