次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

【教育】「自分はリーダーになれるのか」と思っている人へ

1 リーダーとは…

 よく「リーダーを育てる」などと言います。「最近の若者には集団を引っ張れるリーダーがいない」などという嘆きもよく聞きます。組織あるところ、リーダーの存在が不可欠です。
 皆さんのイメージするリーダー像はどのようなものでしょうか。ひと昔前までは、強い存在感や発言力があり、他を圧する影響力を発揮するタイプが、一般的なリーダー像だったように思います。

 私は、自分にはそうした力がないということを自覚してきました。だからこそ「リーダーとは」ということに強い関心があり、人と会う時も意識し、沢山の本を読んできました。

 ワンマン型のリーダーでは、リーダーのところまでしか集団が成長しません。右肩上がりのこれまでの社会ではそれで通用してきました。しかし、予測不能のこれからの社会では、一人一人の力を伸ばし、相互のシナジー(相乗効果)を発揮することのできるリーダー像が求められているのです。

 2 サーバント・リーダーシップ(指導と奉仕)を紹介します

 『サーバント・リーダーシップ入門』(池田守男・金井壽宏)の一部を紹介します。本の帯には、「引っ張るだけのリーダーから、支えることのできるリーダーへ」とあります。

 「オレについてこい!」だけがリーダーシップではない。使命感をもって集団を支える。サーバント・リーダーシップを提唱するロバート・K・グリーンフィールドは、「リーダーシップとは、フォロワーが目的に向かって自発的に動き出すのに影響をあたえるプロセス」だとしています。

 「優れたリーダーは集団の夢や目標を実現するために、メンバーが行動しやすいようにサーバントとして奉仕する人であらねばならない。」としています。また、「ミッション(使命)の名の下に奉仕者となる」という高貴な面が、非常に重要なのだとも言っています。

 「リーダーシップはリーダーの頭の中にあるのはなく、ついてくると決めたフォロワーたちの頭や心の中にあるものなのだ。」フォロワーが認めるからリーダーシップが生まれる。「目指してリーダーになるのではなく、志を追求したら結果においてリーダーになる」という点がミソだともしています。
 人が集まって何かをしようとするとき、誰かがごく自然な振る舞いで、共通の目的を達成するためにみんなの行動をまとめたり、進む方向を示したりする。そのような行為は、すべてのリーダーシップに関わるものですが、普通の人が特別に意識することもなくその能力を発揮することさえあるものです。

 リーダーシップは、だれもが場面によって発揮しうるもの 

 リーダーには、「困った時こそ、イノベーション」だという前向きさが必要です。リーダーの資質として「誠実」「前向き」「わくわく」「有能」という言葉が挙げられます。
 リーダーがフォロワーのために存在しているのか、それともフォロワーがリーダーのために存在しているのか?

 

※「サーバント・リーダーシップ」を説明するために、逆ピラミッドが用いられます。学校でいえば、教育の最前線は、子どもたちと先生が向き合っている教室です。その個々の先生方を支える学年主任がいて、管理職がいる。逆ピラミッド型に存在し、支援を行っていくというイメージです。

※力のあるリーダーとは、従来からのピラミッド型、トップダウンを中心とした「指示・命令」を中心とした統率型のリーダーシップという面だけでなく、逆ピラミッド型のメンバーに対する「支援」もできるリーダーという面を有していくことが大切なのではないでしょうか。

東方巡礼

 ロバート・K・グリーンフィールドが、サーバント・リーダーシップを考える際に影響を受けたというのが、ヘルマン・ヘッセの短編小説『東方巡礼』だったそうである。その一部を紹介します。

 小説の主人公である語り部は、自分らしい生き方を探し求めている音楽家で、ある秘密結社に入って東方巡礼の旅の一員となった。その一団の中にはレーオという名前の召使(サーバント)がいて、こまめにみんなの世話を焼いてくれる。快適に旅を続けられるのはレーオがいるからだということをみんなは感じていたが、気の利く召使と見るだけで、旅そのものが彼のおかげで成り立っているとまでは思わなかった。しかし、ある日レーオがいなくなると、東方巡礼の旅そのものが成り立たなくなり、秘密結社のリーダーがだれだったのかもわからないままに分裂してしまったのである。

 その後、主人公はもう一度レーオに会いたいと思って懸命に探したが、なかなか会えなかった。ついに出会うことができたときにわかったのは、レーオこそが秘密結社のリーダーだったのだということである。つまり、本当はリーダーである人が、サーバントとなってみんなの前に姿を現し、奉仕することを通して、東方巡礼の旅を導いていたのである。

 私は「リーダーとは、人や周囲の役に立つ人」だと考えています。子どもに対しても「人や周囲に貢献する人材」を育てたいと思っています。