次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

【組織・マネジメント】奉仕と指導 ~サーバント・リーダーシップ~

 引っ張るだけのリーダーから、支えることのできるリーダへ

 「オレについてこい!」だけがリーダーシップではありません。使命感をもって集団を支える。そんなサーバント・リーダーシップを提唱するロバート・K・グリーンフィールドは、「リーダーシップとは、フォロワーが目的に向かって自発的に動き出すのに影響をあたえるプロセス」だとしています。彼が、影響を受けたというのが、ヘルマン・ヘッセの短編小説『東方巡礼』だそうです。

『東方巡礼』のあらすじ

 小説の主人公である語り部は、自分らしい生き方を探し求めている音楽家で、ある秘密結社に入って東方巡礼の旅の一員となった。その一団の中にはレーオという名前の召使い(サーバント)がいて、こまめにみんなの世話を焼いてくれる。快適に旅を続けられるのはレーオがいるからだということをみんなは感じていたが、気の利く召使いと見るだけで、旅そのものが彼のおかげで成り立っているとまでは思わなかった。しかし、ある日レーオがいなくなると、東方巡礼の旅そのものが成り立たなくなり、秘密結社のリーダーがだれだったのかもわからないままに分裂してしまったのである。
 その後、主人公はもう一度レーオに会いたいと思って懸命に探したが、なかなか会えなかった。ついに出会うことができたときにわかったのは、レーオこそが秘密結社のリーダーだったということである。つまり、本当はリーダーである人が、サーバントとなってみんなの前に姿を現し、奉仕することを通して、東方巡礼の旅を導いていたのである。

「優れたリーダーは集団の夢や目標を実現するために、メンバーが行動しやすいようにサーバントとして奉仕する人であらねばならない。」としています。

また、次の考え方もこれからの学校にはとても大切だと思います。

「ミッション(使命)の名の下に奉仕者となるという面が非常に重要」
「リーダーには困った時こそ、イノベーションだという前向きさが必要」
「リーダーシップはリーダーの頭の中にあるのはなく、ついてくると決めたフォロワーたちの頭や心の中にあるものなのだ。」(フォロワーが認めるからリーダーシップが生まれる。)
「目指してリーダーになるのではなく、志を追求したら結果においてリーダーになるという点がミソだ。」
「人が集まって何かをしようとするとき、だれかがごく自然な振る舞いで、共通の目的を達成するためにみんなの行動をまとめたり、進む方向を示したりする。そのような行為は、すべてのリーダーシップにかかわるものだが、普通の人が特別に意識することもなくその能力を発揮することさえある。」

 サーバントリーダーシップの考え方は、学校を経営・運営する管理職だけのものでなく、学年経営や学級経営に関わる、中堅の先生や学級担任など全ての先生にとって重要な考え方です。

 児童生徒のリーダーシップを考える時も「みんなの前で大きい声で指示を出せるだけがリーダーシップの重要な資質である」というような教師側の固定観念でリーダーを捉えることはやめましょう。リーダーシップは、だれもが場面によっては発揮しうるものなのです。

 リーダーの資質として「誠実」「前向き」「わくわく」「有能」という言葉が挙げられます。簡単に言えば、人や集団の役に立てる人こそリーダーの素質があると言えるのです。

 フォロワーがリーダーのために存在していると考えるリーダーはリーダーではありません。リーダーがフォロワーのために存在していなければならないのです。今も、旧来の発想を持つ人が多いことが、学校教育の大きな課題だと思います。

 教育の最前線は、現場(教室)です。リーダーは最前線で頑張る先生方のモチベーションが上がるように、「挑戦してみたい」「頑張ってみよう」という思いが広がるよう考え行動することが大切です。ピラミッド型のこれまでの組織・リーダーシップ(トップダウン)に加えて、逆ピラミッド型組織・リーダーシップを、子どもたちと先生が向き合っている場面の向上のために構築していきましょう。

【参考】

サーバントリーダーシップ入門』(池田守男、金井壽宏:かきん出版)

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