次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

【組織・マネジメント】元気な学校づくりは、元気な職員室から

 明るく生き生きと輝く児童生徒の姿こそ、向上する学校のエネルギーの源です。そして、元気な児童生徒の姿をつくり出すのは、元気な先生方の姿です。それでは、どのような教職員集団のもとで、元気な先生方の活躍が生み出されていくのでしょうか。

 よく「元気な学校づくりには、元気な教職員から」と言われます。私は沢山の学校を見てきた結果、確信をもって言えることがあります。それは「職員室=教室」ということです。職員室の(先生方の)在り様が教室の(児童生徒の)在り様を規定している。と言ってもいいと思います。教職員集団の質がその学校の教育の質を規定するということです。

 教職員集団の「質」とは何か。それは、親和性の高さ、協働性、目指すベクトルが合っていること、そして何よりも、それぞれの経験値や性格などの違いを超えて、相互の良さを認め高め合おうとする温かさなどの総和です。クラスがそうであるように、強い者の一部の意見で進んでいく職員集団では、「力」があるかないかが唯一の物差しとなってしまい、「力」がないことを否定する息苦しい職員室となってしまいます。自分のクラスさえよければ、自分の学年さえよければ、そんな部分幸福が優先される学校では、全体幸福をつくりだしていくことはできません。

 構成員一人一人の良さを生かして、皆でよりよい学校をつくっていくことが、よりよい学年・クラスづくりには大切だということを皆が理解し、大切にする風土こそが必要なのです。最近よく言われる「風通しのよい職場づくり」とは、高い同僚性を目指したものであり、単にコミュニケーションが活性化している状況を目指すだけではないと捉えるべきです。

 そのためにも、苦しむ先生がいたら皆で支えようとする重なり合う人間関係や、増加する若手の退職者や病休者を出さないように努めること、初任者などの若手の育成に全員の教職員が関わろうとする仕組みや風土が大切なのです。

 東京大学大学院教育学研究科の勝野正章教授も、講演会の中で「職員室の雰囲気が子どもの学びに直結する」と話されていました。
 その中で「先生たちの学びの様子が、子どもたちの学びの様子につながる」「教員同士で学び合い、支え合う雰囲気を大切にしてほしい」そして何より「同僚性が大切」と述べております。高い同僚性を有する職場づくりは、誰がするのか?それは、所属する全員の教職員です。管理職や主任層の存在も当然重要ですが、「誰かがやってくれる」という姿勢では上手くいきません。

 学校の教育力を高める「組織マネジメント」(人事評価システム等)が学校現場に導入され、これまでも様々な取り組みが重ねられてきました。しかし、それ自体が目的となっていたり、負担が増えただけと受け止められていたりして、各学校において、十分理解され、成果を上げているとは言えない現状も見られます。大切なことは、新しいシステムを導入することより、どう命を吹き込んでいくかです。実質的な成果をあげるように運用しなければなりません。

 これからの学校を巡る状況の中で、「改革が職員室の前まできている」ということにならないよう、積極的に新たな風を職員室に呼び込み、攻めの体制をつくっていくことが、学校を向上させていく上では欠かせません。現状維持は後退以外の何ものでもありません。向上しつづける学校づくりに、勇気をもって挑戦していきましょう。

   【2020.6.13公開記事のリライト】

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