次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

柔道を通して学んだこと(2)

 勝利して素晴らしい結果を残すことより、悔しい思いや辛い思いをすることの方が多いものです。何度挫折しても立ち上がり、前に進み続けることに価値があります。強さも、弱さを受け入れてこそ、本当の強さを身につけられます。柔道を通して学んだことは、人生を支え導く大きな力となります。

5 強さにも色々ある 
~「失敗は、あきらめない者にとってのみ成功への道標(みちしるべ)となる」~

 柔道では「柔能制剛(柔よく剛を制す)」という言葉がよく使われます。「強さ」と「脆さ・弱さ」は背中合わせです。例えば、樹木でも欅(ケヤキ)のような強度の強い木でも強風で途中から折れてしまうことがあります。一方、柳(ヤナギ)のようなしなやかな強さをもつ木もあります。人として強くなるということを幅広く捉えることができ、身に付けていくことができれば、逆境に負けない、肝心なところで力を発揮できるよう成長していけます。
 強い心とは、相手を圧するような、プレッシャーに押しつぶれされない心のような面と、例えば、緊迫していても笑顔でいられる柔らかさや、どんなに辛い場面でも冷静に観察し判断することのできるしなやかさなどという面も強さです。
 一面的な「強さ」だけを追い求めていくと「弱さ」や「脆さ」の崖っぷちに立つことになります。「弱さ」を知ることも「強さ」に近づく大切な道です。自分の弱さを認めることができる人の方が、自信をもって事にあたることができます。本当に心が強い人は、見た目だけを強く見せるようなことはしないものです。
 「弱点」や「敗戦(失敗)」の中から多くを学び、向上に結びつけることができる力こそ、真の「強さ」を手に入れることができます。だからこそ、勝っても奢らず、負けても卑屈になってはいけないのです。苦難や挫折、逆境を乗り越えた先に、大きな強さを身に付けられるのです。

6 強くなるとは、人として成長すること 
  ~「実るほど頭を垂れる稲穂かな」~

 全国大会や関東大会で優勝するような頂点を極めた生徒たちに共通しているのが、「感謝」することを知っているということです。自分が到達した地点に来られたのは、自分一人の力ではないことを知っているからこそ自然にわき上がってくる思いなのだと思います。
 そのような生徒たちを育てるためには、指導者も「感謝」することの大切さや、多くの人に支えられていることに目を向け、語ることが重要です。逆に謙虚さも、感謝の心もない成果は、周囲から認められないだけでなく、次の成長にもつながらない、一過性の成果で終わってしまうものです。
 特に、仲間を大切にすること、個の成長とチームの成長を一体で捉えることができるようになっていくことがとても大切です。
真の強者は、自分だけが強くなることだけを考えるのではなく、仲間の向上も大切にすることが、巡り巡って、自分を向上させる大きな力になることを知っているものです。強い者は後進を育て、後進はそれぞれの役割でチームに貢献する。そんな関係性が、全員で目標に迫る思いと行いを育て、単発的又は個人的な結果を出す段階から、結果を出し続けることのできる真に強いチームと個人にステップアップさせていく原動力となっていきます。
 

にほんブログ村 教育ブログへ
にほんブログ村