人は二度生まれる ~未来を創る、こどもたち。未来を育てる、私たち~
人は二度生まれる ~未来を創る、こどもたち。未来を育てる、私たち~
いつまでも「子ども」だと思っていた生徒達が、いつのまにか大人びた面を見せるようになります。「自分のことを大人だと思いますか、子どもだと思いますか?」と聞かれたら、どのように考えるでしょうか。中学生になる前後から成人する頃までを「青年期」と言います。また、子どもから大人への境目にあることから「境界人」などという言い方もあります。
この時期は、心身ともに大きな成長と変化を伴います。中には中学校での3年間で30cm~40cmも身長が伸びる生徒もいます。幼さを残して入学してきた生徒達が、いつの間にか逞しい姿となっていきます。
身体的な変化とともに、心理的な面においても大きな変化が表れてきます。興味や関心をもつ対象が変わりったり、友達関係などでもそれまで見られなかった面を見せたりもします。自意識が高まり、物事に対する捉え方や価値観も変化してきます。これまであたりまえだと思っていたことにも疑問を持つようになり、周囲に対して、生意気な言動を取ったり、急に無口になったりすることもあります。
いわゆる「反抗期」と言われる状況が訪れるのもこの時期の特徴です。感情の起伏が激しく、いつもイライラしていて、何を考えているかも分からず、どのように接して良いか思い悩む保護者も多いのではないでしょうか。本人も様々な不安や葛藤を抱いているものです。周囲はこの時期を理解し、正しく乗り越えさせていくようにしなければなりません。将来の自立への大切な時期なのですから。
かつてフランスの思想家であるジャン・ジャック・ルソーはその著書『エミール』の中で、子どもから大人への変化について「第二の誕生」と表現しました。第一の誕生は、母親からこの世界に生まれてくる生命としての誕生を指しています。第二の誕生は、精神的に親から自立して社会的な存在として生きていこうとする独立した心の誕生を指しています。青年期とは、自分を確立していく大切な時期です。自他の存在について考え、生きていくことの意味や社会で役立つことの大切さ、自分を必要としてくれる存在があることを認識する時期でもあります。
周囲の大人には、やがてやってくる未来への巣立ちのために、温かく見守り育んでいく姿勢が求められます。