次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

【組織・マネジメント】安定して向上する学校・学級づくりへの挑戦~管理を重視するか戦略を大切にするか~

失敗を繰り返す組織、成長し続ける組織

 人は「失敗するな」といわれ続けられると、守りの思考が強くなり、ネガティブで消極的な発想や言動が増えていきます。組織としてのモチベーションは上がらず、結果、新たな失敗を生ずる要因が高まっていくようになります。問題が起きないように注意しているのに問題が続く組織があるのは、このような背景があることが多いようです。

   一方で、リーダーと構成員が、組織の向上に向けて目指す方向性や課題を共有しており、やる気をもって向上していこうとした時、一人一人のモチベーションが上がり、発想や言動もポジティブで積極的なものになっていくのです。結果、失敗をしない、失敗してもそれを克服し、さらに向上していくことのできる強力な組織になっていくのです。
 学校や学級において、学力を向上させるとか、いじめをなくすというような面も、実は、このような木で言えば「幹」の部分を着実に成長させていくような発想をもった組織づくりを重視した取り組みが大変重要なのです。

 組織づくりは、じっくりと時間をかける覚悟が必要です。短期的に結果が表れてくるものではありません。学力向上や不登校解消など、学校課題に対して短期的に結果を出そうとすると、一過性で終わったり、反対に上手く行かなかったりすることが多いです。即効性に対する何らかの副作用が表れることも考えられます。

「管理」よりも「戦略」を大切にした学校経営・学級経営を

 経営には、管理的な経営と戦略的な経営があります。「管理」とは失敗や間違いがおきないようする経営です。管理的な経営では、変化を好まないことから前例踏襲が重視されてきました。これまでの多くの学校・教師が、管理的な経営を大切にしてきました。それで上手くできてきたことも間違いありません。「管理」を否定するものでもありません。
 しかし、これからの教育は、変化の激しい社会を逞しく切り開いていく人材を育成していくことが求められています。自分で考えて主体的に行動する力、仲間と協力したり支え合ったりすることのできる力、それらの力を活かしながら新しい自分や社会を創造していくことのできる力を育成していくことが重視される時代となってきているのです。
 予測不能の社会の担い手の育成のためには、挑戦する力を重視した戦略的な経営が、学校・学級において、これからますます重要になっていくのです。「戦略」は人を育て、組織に勢いと向上をもたらしていくのです。

守りより攻めの姿勢を重視する~挑戦する学校・学級~

 よくマネジメントの話しをするとき「PDCAのサイクルを回す」と言います。「守り」重視するならば、向上の見られない同心円を描くようなサイクルとなってしまいます。目指すべきは、回転するほど向上していくようならせん状の上昇スパイラルです。
 ある市では、教育長の管理職に向けた新年の挨拶の中で「変化を先取りする学校経営を! 革新的に戦略的に攻撃的にアグレッシブでチャレンジングな一年にほしい」と。挑戦することを重視した攻めの学校経営について訴えたと言います。
 常に「攻め」(向上)の姿勢をもち、構成員の機運を高め、あらゆる場面で、その推進に努める発想こそこが「戦略的な学校経営・運営」の中核となります。

現状維持は後退以外の何物でもない

 「現状維持は後退以外の何物でもない」という言葉がありますが、「例年通り」という発想では、逆に下降スパイラルになっていく危険さえあります。改めて言うまでもなく、組織マネジメントをやっていない学校はありません。
 しかし、取組に大きな差があることも確かです。勢いがあり、向上している学校に共通しているのは、教職員の同僚性・協働性が高いということです。妹尾昌俊氏『変わる学校、変わらない学校~学校マネジメントの成功と失敗の分かれ道』(学事出版)の中で、学校差が大きいことに触れながら、個人プレー(個業)では限界があり、「学校を組織・チームにしていくこと」そして「個々の教職員の資質向上に加えて、学び合う同僚性をつくっていく組織力が重要である」。と指摘しています。

組織の向上は、子どもたちの姿となって表れる 

 同僚性、協働性の高い職場では、モチベーションが高く、教職員がハツラツとしています。その雰囲気は、教職員だけでなく、子どもたちの挨拶や表情にも表れてきます。学校全体に「活気と向上の勢い」を感じるのです。
 何よりここが重要です。その成果が子どもたちの姿となって表れていると言うことです。学力が向上する、いじめや不登校が減る等々。(研究校で大きな成果を上げるのは、研究そのものの成果でもあるが、同時に研究に向けたチーム意識の向上、同僚性や協働性の向上の成果である面を無視してはいけません)

 教職員のベクトルを合わせていくという点では、「目標の連鎖を図る」ことが大切です。リーダーの言うことを聞けというようなトップダウン型の鍋蓋型組織は脱却しなければなりません。ボトムアップを重視し、多数の中間リーダーが力を発揮していく組織を育成していくことが大切です。一人一人が生き生きと過ごすことができる組織では、トラブル、問題も低減していくものです。

 

 

 

   【2020.6.24公開記事のリライト】

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