次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

【教育】子どもを指導するとき大切にしてほしいこと(3)

⑨「荒れ」から学ぶ

・小学校での荒れの多くが、荒れる前の学年・クラスで、強い指導(力による)が行われていることが多いようです。例えば、自分の型にはめるような指導(真面目なおとなしい子がいい子、自分の型にはまらない子は悪い子として排除しようとする)や、逆らうことを許さない強権指導等がその典型です。子どもの心に不健全な圧力を加え続けたことが、そのような学級の子どもは、本音を語ろうとせず、その先生の前ではよい子を演じるようになります。互いが首をすくめて疑心暗鬼になり、やがて学年が変わり、やがて集団化しはじめた時にその不満の芽が爆発して学級崩壊をおこすことが多いようです。

・初任者や若手などが担任になり、学級が荒れたとき「その先生に指導力がないから荒れる」と決めつけないようにしなければなりません。もっと深く原因を探り組織的に改善していく必要がります。ともすると、強い指導をしてきた先生が、「自分の時は大丈夫だった。次の先生の指導力がないから荒れた」などと攻撃し、困っている先生をさらに追い込んでいくことがあります。学校としては、とても危険な状況です。

⑩良い授業こそ最大の生徒指導(楽しい・わかる・できる)

・知的な楽しさを感じ、力をつけた実感をもてる授業により子どもは先生を信頼し、学力を高めていく。良い授業は、先生を好きになり、学校に来るのが楽しくなります。

・できなかったことができるようになる。わからなかったことがわかるようになる。それが子どもの成長には大切です。表面的な楽しさだけでなく、その教科の本質的な楽しさを味合わせる授業に挑戦してください。子どもの喜びのために挑戦する姿勢こそ、子どもたちに伝わるものです。

・授業規律を意識した授業も大切です。しかし、注意ばかりの授業にならないように。自然と児童・生徒が集中して参加するような授業を工夫していくことが第一です。「静かに」「しゃべらない」と言わずに、静かになる、口を閉じて集中する。そんな授業を目指すことこそプロの教師の姿勢です。授業が上手い先生、一人一人を大切にする先生なら、子どもは反発しないものです。

幾重ものネットワークをつくる

・子どもを周囲で包み込む幾重ものネットワークがあると、子どもを守ること、救うことができます。

・子どもの周りに、健全な子どもたち集団があること、そしてその外側に、教師集団、保護者のネットワーク、地域のネットワーク、関係諸機関のネットワークなどが存在することで、安心して学校生活を送ることが出来るようになります。

・大人が、地域や保護者とのネットワークづくりに注力していくことが大切なのも、子どもたちを守るためには欠かせない取組なのです。地域や保護者との付き合いは、面倒と感じる先生もいるかもしれませんが、顔の見える関係は、信頼につながり、大きな力となるものです。反対に、地域や保護者から認められない状況は、学校をとても危険な状況にしていく可能性があります。

人が人を育てるということ

・両親の中が良い家庭で育った子は、情緒が安定しているといわれます。学校においても、先生方の関係性は、子どもたちの心理に与える影響をもっています。「仲良し小吉し」の「なあなあ集団」になれとは言いません。相互に、厳しさがあったとしても尊重し合い認め合う関係性は、子どもたちの関係性にも良い影響を与えることを大切にしてください。

・同じことは、先生と保護者との関係でも見られることです。互いに仲の良い姿を見た子どもは、そうそう悪い道にはいきません。反対に、いがみ合った関係の中では、子どもの成長は遅くなります。