次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

【生徒指導・健全育成】伸びる教師、残念な教師

◆子どもたちはアドバルーンを上げている

 新しい学級がスタートすると、しばらくの間は静かな日々が続きます。子どもたちみんながよい子に見えます。比較的指示にも素直に聞き動きます。この子たちとなら、このクラスなら良い一年間になるという教員の期待も大きくなっていく時期です。

 ところが子どもたちは、新しい先生の出方をじっと見守り、学級集団の中での力学(だれがどのような個性をもっているのか、逆らったら怖いのは誰かなど)を、じっと観察している期間でもあります。

 そして、ゴールデンウィーク明けごろから、様々なトラブルが頻発し始め、「こんなハズじゃなかった」「子どもたちを指導しても言うことを聞かない」(制御不能)「苦情が入り始めるた」(子どもの不信⇒保護者からの不信)などという状況に陥っていくのです。

 表面的に良い面を見せながら静かに様子を見ていた子どもたちは、水面下で様々な言動の「アドバルーン」を上げては、小出しに先生や他の子の反応を試しつつ、許容される範囲を見極め、小さなスキを見つけては乗り越えはじめていくのです。不適切な言動というアドバルーンが次々に上がるようになると、既に個別対応によるリカバリーは不可能な状態となっていきます。こうなるとあっという間に「学級が上手く機能しない状況」(学級崩壊)への坂道を下っていくことになります。

 最近、小学校では、経験の少ない若い先生が担任しているクラスで、発達に課題のある子どもの集団を意識しない突飛な言動と、その対応に追われ上手くできないことがきっかけとなって集団が崩れていくことが増えているようです。

◆教師のリアクション3つのパターン

 さらに、様々な課題が表面化してきたときの教師のリアクションにより、状況をさらに悪化させていくことがあります。 
 次の3つのパターンのうち、①は確実に学級は荒れていきます。②は力があると思っている先生が、管理と「力」で子どもたちの言動を押さえていくパターンです。その時上手くいっても、中長期的には荒れにつながっていく危険性を有しています。その学級で反動がでなくても、次の学年になり先生が代わったときに反動が出る可能性があります。①と②で上手くやってきたベテラン等がいると、その学年や学校全体が大変やりずらくなっていく危険性もあります。

①「子どもたちが悪い」「以前の指導の責任」と他者に転嫁をしてやり過ごす。
②厳しく注意したり、罰をあたえたりして従わせる。チェックを厳しくする。
③真摯に指導改善に取り組む。個と集団の信頼関係構築を図り状況打破を目指す。

◆残念な教員

 一人一人の教員の資質からも、学級が機能しない状況を招きやすいタイプがあります。

①鈍感教員(子どもの状態が理解できない)
②学ばない教員(本を読まない。アンチョコにばかり頼る)
③学べない教員(勉強はできるが教育技術が低い教員)
④コミュニケーション不全
⑤「理念」欠如型教員
*「残念」と評する理由はただ一点「生徒を成長させない」教員。
(盗撮や道路交通法違反等の不法行為については対象としていない)
                   (『残念な教員』林純次著(光文社)より)

◆未熟な授業の共通点

 「教師は授業で勝負する」と言います。授業が上手くいっている先生は、子どもたちからも信頼され、学級も落ち着いていきます。

①話はしているが伝わっていない。
②進めているがついてきていない。
③静かにしているが、理解していない。
④静かにしていないのは誰のせい?
*授業の三大ストレス=「見えない・聞こえない・わからない」
*子どもを置きざりにした一人よがりの授業
*自分が何を教えるかは考えているが、子どもがどのように考えるかを想定していない授業。(授業は、教師のトップダウンと児童・生徒のボトムアップで成り立つ)

◆「好きな先生」(アンケート調査より)

・明るい 
・ユーモアがあって楽しい
・一緒に遊んでくれる
・優しい 
・思いやりがある 
・話を聞いてくれる
・教えるのが上手(伸ばしてくれる)

 第一位は「教えるのが上手な先生」です。さらに、教えるのが上手な先生は、明るくユーモアがあって、できない子にも優しい思いやりのある授業を行い、自分の話ばかりではなく、子どもの話を聞くゆとりをもっているということです。

◆教えるのが上手な先生の共通点(伸びる教師に見られること)

・誰のための授業かを考え、工夫している=子ども主体の授業づくり
(子どもの立場・発想で授業を設計することができる)
・子どもの実態をよくとらえている(心の動きを理解している)
・健康で、明るく元気でよく動き、心(情緒)が安定している。
・子どもの声や変化にアンテナが高い。
・「あとでね」と言わないで子どもの声に耳を傾ける。
*信頼関係:見捨てられないという安心感を育てる 
  → 厳しく接しても心は離れていかない。
*無視、無関心は子どもを伸ばさない。
*怒りにまかせて存在を全否定してはいけない。

◆二つの言葉

 〇「学び続ける者のみ、教うる資格あり」(野口芳宏氏のことば)

 〇「子どもの成長は教師の成長に規定される」(長谷川博之氏のことば)

 何年経験しても、どのような立場になっても、謙虚に学び続けていくことを大切にしたいものです。

 

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