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【人材育成・教員養成】保護者とのつき合いが「上手」な先生と「苦手」な先生

そもそも「敵」と考えていないか

 保護者からのクレームが入ると、端から敵対的な感情をもつことがあります。自分の行為(指導したことなど)を批判されたとしたら、気分を害することは当たり前と言えるかもしれません。正しく理解されなかったという悔しい思いもあると思います。大切なのは、どっちが正しいか白黒つけることではありません。親を言い負かせることでもありません。共に子どもの成長のためにベクトルをあわせて共同体制を築いていくことが大切であり、クレームという形のすれ違いをどのようによい方向性に導いていくかではないでしょうか。

保護者とのつき合いが「上手」な先生と「苦手」な先生 

 両者は、あることを意識しているかどうかで「大きな違い」があります。それはいったい何でしょうか?
 それは「保護者の思い」を理解しようとしているかどうかの違いです。先生という立場に縛られることなく、保護者の気持ちに寄り添って考えられること。先生方には、相手の立場に立って考えることができるようになってほしいと思っています。
 こじれる時の多くが、感情を害している保護者に対して、教師が理屈で正当化しようとした時です。保護者は「感情」を害しているのに対して、教師は自分の行為は正しいという「理屈」で向き合おうとするから上手くいかないのです。戦闘モードの保護者に対して、理論で戦おうとする姿勢がとても危険なのです。まずは、その保護者の思いを受け止めてみませんか。

背景を理解する

 保護者が、先生や学校に対して強く出るときの多くが、「自分の子どもが大切にされなかった」と感じたときや、「自分の(大変な)状況を理解してもらえない」と感じた時です。まず、保護者の話をじっくりと聞き、そういう思いを持たせたことを認めることから始めましょう。教師の側の理由は、落ち着いてから伝えればいいのです。
 理想的なゴールイメージは、「子どもの成長」という共通の目標に向けて、保護者と教師が共に頑張ることのできる関係づくりができることです。話し合いの最後に、子どものために共に頑張ることを確認することができれば大成功です。

情報源は子ども 子どもの心に落ちる指導だったか 

 保護者との関係において、一番の情報源は「子どもからの話」であることを忘れてはなりません。また、授業や部活動指導、電話や面談での対応や、保護者会での姿など、普段の姿が積み重ねられて、この先生は信頼するに足る人物かどうかを、生徒や保護者は感じるものです。最近では、他の保護者からの情報も影響が大きくなってきています。一つのボタンの掛け違いが、尾を引くことも増えました。
 先生方の中には保護者との接触を厭(いと)う傾向があります。若い時は仕方ないのかもしれません。しかし、距離があるほど味方にはなってくれません。相手がどのような先生か分からなければ「不安」な思いを抱くものです。不安だからこそ攻撃的になるのかもしれません。一度でも会話を交わす機会があるだけで、顔が見える関係となり、「あの先生なら知っている」となるものです。それが事態を大きくさせない力(抑止力)になる可能性があるのです。

先手を打ち続けていくこと

 大切なのは、クレームが来ないよう先手を打ち続けていくこと。プラスの表現で言い換えれば、生徒・保護者(できれば地域も含めて)信頼を構築することを大切にすることです。「あの先生なら大丈夫」「あの先生のことだから心配いらない」「あの学校は信頼できる」「理由があるから直接聞いてみた方がよい」などと思われる状況であれば、いきなり攻撃的になることも少なくなります。
 保護者と接する機会こそ、味方(ファン)を増やしていく、そんなチャンスだと考え前向きにとらえてほしいと思います。子どもとの日々の指導にも重要なカギが沢山あります。小さな信頼を一つ一つ、一人一人ゆっくりと構築していくことが、大きな力となっていくのです。(※下で紹介する「良い事電話」のように如何に情報を発信していくかも重要です)

チームで対応が基本

 それでもクレームが来たときは、どこに発火点があるのかを探り、共感することを大切にしてください。生徒の責任、保護者の責任に転嫁して終わるのではなく、指導のあり方を改善するきっかけをもらったとプラスに転換していきましょう。保護者からの厳しい言葉は、改善・向上への第一歩となります。そのような保護者は、自分の子どものことや学校のことに強い関心をもってくれていることを忘れてはなりません。やがて、協力してくれる大きな力になってくれる可能性もあるのです。何よりも大切なのは、一人で対応して抱え込まないことです。組織で受け止め、組織で解決の道を探ることです。

 

※「良い事電話」をしてみませんか。
 「課題のある子」として入学してきた子どもの保護者ほど、学校から電話があると「またうちの子が何かしましたか」(どうせ良くない電話)という思いを持ちます。そんな時「実は、今日嬉しいことがありまして、〇〇くん(さん)が□□□の様な取組を見せてくれたのです。保護者の方にも彼(彼女)の頑張っている様子を知ってほしいと思って電話してしまいました…。」
 忙しい中で、全ての子どもに全ての先生が同様のことはできないかもしれません。ノートを用意して、子どもたちの小さな変化を記録しておいて、後で保護者に伝えても良いと思います。

 当然、学級だよりや学年だより、学校ホームページなども、有効な情報発信ツールです。情報がある状態だと保護者は安心します。情報が少ないと不安になります。不安はやがて不満につながります。保護者とのつき合いが「上手」な先生は、情報も上手に活用しています。

 

   【2020.6.17公開記事のリライト】

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