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【本の紹介】『深い学び』

「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)への挑戦

 お薦め図書とその中の一部を紹介します。皆さんも読んでみてください。
『深い学び』田村学著東洋館出版社)です。一部抜粋して紹介します。

・そもそも「見方・考え方」は教科の本質、その中核である。
・「深い学び」を考える際のキーワードは、「つなぐ、つながる、つなげる」と考えるべきではないだろうか。
・「考えるための技法」とは思考スキルのことであり、例えば、比較する、分類する、関連付けるなどの情報の処理方法のことである。
・今後、育成を目指す資質・能力の鍵となる存在として思考スキルや思考ツールがクローズアップされることが考えられる。
・「子供の主体性」と「教師の指導性」は対立するものではなく、それぞれの相乗効果を発揮しながら成果を上げていくものである。

 「主体的・対話的で深い学び」が、新しい学習指導要領の目玉であることは、ほとんどの教師に認識されています。「主体的」や「対話的」が比較的、イメージしやすいのに対して、「深い学び」をどうとらえるのかがイメージしづらい面があります。
 注意しないと、「主体的」な学びと「対話的」な学びが一人歩きしていく危険性があります。表記を改めて見ると「主体的」と「対話的」の間は「・」であり、「主体的で深い学び」と「対話的で深い学び」と「深い学び」を目指していることが分かります。「深い学び」を実現していくためには、教師の指導が重要なポイントになります。

・例えば、発問であれば、状況や理由を明らかにすることを求める問いが好ましく、子供が詳しく説明しなければならないような問が有効である。そのためにも開かれた問、関係性を明らかにする問いなどが考えられる。
・グループをどのようなメンバーで構成するかなども極めて重要である。
・表面的なペアの話し合いや形だけのトリオの意見交換などを、ただ行っていればよいというわけではないことを押さえるべきであろう。
・思考ツールの準備に際しては、子供の発達や経験を視野に入れることは極めて大切である。こうした考えは、授業のユニバーサルデザインの考え方にも近いとも言える。

 思考ツール自体は以前からあり、「思考」にこだわってきた先生方が研究を続けていました。ようやく、広く多くの学校・先生方によって利用され始めたという状況のようです。しかし、ツール自体の使用が目的にならないように注意しなければなりません。

 また、アクティブ・ラーニング=ジグソーメソッドなどという形式的なものでもありません。どのような学習形態や学び方が「深い学び」に適しているかの実践を積んでいく必要があります。

 「深い学び」という言葉については、「『高い学び』とことばを置き換えると理解しやすい」としているている解説書もありました。例として「Aさんから出たAという考え方と、Bさんから出たBという考え方から、より次元の高いCという考えを導き出すような学び」というように思考の高まりを「深い学び」ととらえるとイメージしやすいようです。

また、本書では次のようにも述べています。

・「仲よしで前向きな学級は、学びの場においてその成果が出やすい」という経験は、誰にもあるのではないか。自ら学び、共に学ぶ集団であればあるほど、結果や成果は高くでることが期待できる。
・これまで多くの学校の授業で、「振り返り」が丁寧に行われない傾向にあった。授業の終末に意識を向け、丁寧な授業の「振り返り」を行う必要がある。
・学習活動の終末に向けて、自分自身の成長を実感できるようにすることも大切である。
・学習活動をどのように終えるかによって、次の学習活動への意欲は大きく変わる。
・熟考する子供の姿を生み出すことが重要であり、そのことが「深い学び」に結びつくものと考えることができる。
・「書く」ことによって、深く考える熟考が生まれ、その結果「深い学び」が実現する。

 

 

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