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【学力向上】よりよい授業を目指して~授業の3要素~

 授業には3要素があると言われます。授業をよりよいものにしていくためには、この3つの要素を理解しておく必要があります。授業力を向上させていく上では、日頃から意識しておくことが大切です。3つの要素とはいわゆる「3観」といわれるものです。
 この3つについて、関連性を図りながら授業の構想を立てていくことがとても大切なのです。残念ながら、児童・生徒観では関心意欲についてのみ記述し、単元観では知識理解について記述するというように、3の要素が関連性なくバラバラに記述された学習指導案を見ることが多いように思います。

◆授業の3つの要素=「3観」とは?

  学習指導案を作成するとき、通常はじめに3つの観点(「3観」)を記述します。
①児童・生徒観(児童・生徒の実態)
②単元観・題材観(教材観)
③指導観
名称や順番に差異はあっても、この3つは授業を設計していく上で不可欠な要素となります。
※小学校では児童観を最初に記述する傾向が、中学校では教材観を最初に記述する傾向があります。

①児童・生徒観(児童・生徒の実態)

 教師の観察により記述されることが多いですが、客観的に生徒の実態をとらえることも重要です。アンケート(事前調査)結果を取り入れていたり、諸調査(全国学力・学習状況調査や県学力・学習状況調査など)の結果を活用したりすること。そしてそれらのデータをグラフ化するなど見える化を図ることが求められます。

*今までの学びについて記述したりすることなど単元・授業について、付けたい力との関連で記述することが大切です。

*実態把握のアンケートの工夫も重要。「○○は好きか」(関心意欲)だけでなく、研究に結びつく項目(全教科共通や教科独自の内容)の工夫が必要。

 ②単元観・題材観(教材観)

 「学習指導要領と同解説」に示されている目標や内容を踏まえることが重要です。

*「教科書を教える」のではなく、「教科書で教える」と言われます。その何を教えるかを明確にする部分です。自説を述べている先生も多いですが、まずは、学習指導要領のどの部分を扱うかを明確にすることが基本です。

 ③「指導観」

 ①と②つまり、授業を通して「育てるべき児童・生徒の実態」と「教えるべき、身につけるべき内容」とを、どのように結び付けていくのか、授業設計のポイントとなるところです。
 この授業では、どのようなアプローチ(導入、展開、教材や教具の工夫、資料、ICTの活用等)でねらいに迫るということを明確にする所です。研究の要素がどう出るかが現れるところ。授業改善に直結する部分となります。

【注意点】

(1)「教材研究をする」と言ったときに、②単元観・題材観の研究、資料集めに力を入れるだけの先生は、沢山教えたくなり教師の一方的な授業に陥りがちです。沢山あつめた研究成果をいかに、児童・生徒の実態と指導に併せて、そぎ落としていくかがとても大切になります。この作業をしないと、授業時間に収まらない事態になる可能性が高くなります。
(2)授業の大きな流れは、
  ①事前に、どのような力をつけるのかを教師がトップダウン的に考え(教材観)
  ②実際の授業では、児童・生徒(の実態)からスタートして
  ③授業(指導)を通してゴール(目標)を目指してボトムアップしていく。
  という構造になっています。②の要素にかけた教材研究では、
(3)陥りやすい授業
  ①中学校: 講義式・教師の一方的な説明=教えることに比重。
   「学習あって活動なし」と指摘されることが多い。          
  ②小学校:児童の高まりのない活動=活動が目的化している。
   「活動あって学習なし」と指摘されることが多い。
 (4)「学習指導案」とは、
  ・教師の「指導案」である
  ・同時に児童生徒の「学習案」でもあります。

 松前城の画像

 

 

 

   【2020.7.30公開記事のリライト】

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