次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

教師は授業で勝負する~よりよい授業づくりのために~

「教師は授業で勝負する」という言葉があります。教師としての力量を高め、子ども達をはじめ、同僚や保護者などからも信頼される存在となっていく上で、「授業力」を向上させていくことが重要な「柱」となります。
 教師として様々な経験を積みながら、守備範囲を広げ、様々な面で学年や学校の推進力となっていく力などを身につけていくことも、教師としての成長には大切ですが、「授業力の向上なくして、教師としての成長はない」のです。
 学校全体の教育力の向上、又は子どもたちの学力向上を考える上でも、一人一人の教師の授業力の向上に追うところが大きいと言えます。

【よりよい授業づくりのために】

○よりよい授業づくりのためには、授業精度を高めていくことが求められます。そのためには、授業の目標を達成するための三つの要素(授業の三要素)を押さえておく必要があります。
 *何を学ぶのか(What)
 *誰が学ぶのか(Who)
 *どのような方策を用いるのか(How)
○この三つの要素は、学習指導案の冒頭に記述する
 「教材観・題材観」
 「児童・生徒観」
 「指導観」
 のいわゆる「三観」と言われるものにあたります。
①「教材観・題材観」
 その授業を通して身につけさせたい力を明確にしていく。「教科書を教える」のではなく、教科書を通して学習していく内容を、学習指導要領・解説の内容を踏まえながら、理解を深めていく必要があります。
 授業をデザインする技術を高めるポイントとしては、単元を通して、話合い活動や体験活動を計画していくことも重要です。一単位時間毎に細切れの授業とならないように注意しましょう。
②「児童・生徒観」
 学習対象の児童生徒の実態を把握する。日頃の観察も大切ですが、これまでの学びの経験や現在どのような力を持っているのか(学力の三要素の分析)などを踏まえることや、客観的に実態をとらえることも重要であり、諸調査やアンケート等の結果などから多角的に把握します。
③「指導観」
 ②「児童・生徒観=育てるべき児童生徒の実態」を、①「教材観=教えるべき内容(身に付けさせたい力)」に近づけていくために、どのような授業を行っていくのかを具体的に検討します。
 引き出し=多くの方策(指導技術や授業スキル等)を持っていればいるほど、目標達成にふさわしい、精度の高い授業づくりが可能となります。
〇「授業の三要素」を理解することは、授業をデザインする基本的な要件となるばかりでなく、授業力を向上させていく上で重要な視点となります。

【児童生徒のための授業づくり】

○「よりよい授業づくりのために何をしますか?」と問われると、「教材研究に力を入れます」と多くの教師が答えます。この場合、教材の理解や吟味、どのような指導を行うのかということに意識が向くことが多いようです。
〇児童生徒の実態を十分に考慮せずに、教えるべき内容=教材観に偏って授業を進めると、一問一答式のような説明中心の講義式の授業になってしまう恐れがあります。このような授業では、「学習あって活動なし」となってしまう可能性があります。
○教師はどのような内容をどのように指導しようかと、授業をトップダウン的に構想することになりますが、実際の授業では、児童生徒がボトムアップ的に目標に向かって学習していくことになります。
トップダウン的な要素にばかり比重が高い授業計画の場合、児童生徒を置き去りにした授業になってしまうことになりかねません。陥りがちなのが、学力の高い児童生徒だけで、授業を進めてしまうようなケースです。これでは、教師のための授業づくりに終わってしまうでしょう。
○よりよい授業づくりのためには、児童生徒のボトムアップをどれだけより確かなものにできるかにかかっていのです。児童生徒の実態にあったより適切な方策(指導)を求めていかなければなりませんが、それ以前に、どれだけ児童生徒のことを理解しているのかということが重要になってくるのです。

【指導と評価の一体化とPDCAの検証改善サイクル】

○また「活動あって学習なし」という言葉もあります。例えば、話し合いなどの言語活動やICTを活用することなどの活動自体を目的にしてしまうと、活動はしているが目標に向けて高まっていかない授業になってしまうのです。
○このような授業にしないためにも、一単位時間の目標を一つ(多くても二つ)に絞り、目標を明確にした上で、達成するための方策を検討していくことが必要です。方策(指導)ありきではないということです。
○この授業では、どのような指導=アプローチ(導入、展開、資料、発問・指示、教材教具・その提示方法の工夫、ICTの活用、振り返り等)を通して、どのようにねらいに迫っていくのかを明確にする大変重要なところです。話合い活動等を計画する時も、このような流れの中で、どのような方法が適切なのかを考えていくことが必要です。
○新しい学習指導要領の全面実施にともない、改めて指導と評価の一体化の重要性が強調(※)されていますが、その前提として、目標と指導の一体化が必要なのです。
 ※国立教育研究所から「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」が刊行されています。HPにも公開されています。
○授業力向上のためには、目標の明確化と目標・指導・評価の一体化を進めていくことが欠かせません。
○その上で、児童生徒の学習状況を確認しながら、自分自身の授業を改善させていくためのPDCAの検証サイクルを積み重ねていくことが、授業経験を積みながら授業力をつけていくために求められるのです。
 
 

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