次代を担うみなさんへ  

若手・中堅・管理職、これからの教育・学校を支えるみなさんに伝えたいこと。

今日的な生徒指導について(2)

今日的な生徒指導について(2)

 

○「生徒指導」と言うと、問題行動や不適切な言動をした児童生徒に対する指導と受け止められてきた傾向があります。このような何かが起きてから対応する生徒指導は「対処療法的な生徒指導」や「消極的な生徒指導」と言われます。
○かつての非行問題行動が多発し、多くの学校が荒れていた時代は、発生した問題への対応や、ルールを違反した児童生徒への指導など、対処療法的な指導に追われていたのも事実です。
○社会全般や家庭状況の多様化が進み、児童生徒の有する課題やその背景が多岐にわたり複雑化してきている今日の状況では、これまでのような対処療法的な生徒指導を中心に取り組んでいたのでは、安定した学級・学校づくりは難しくなってきています。
〇何かが起きてから対応するのではなく、何かが起きないように先手先手を打ち、積極的に児童生徒を健全に育成しようとする「積極的な生徒指導」が、安定して発展していく学級・学校づくりには重要となります。
〇「積極的な生徒指導」を進めていくことは、事件やトラブルが起きないようにするのですから、結果、無駄な労力に感じるかもしれませんが、対処療法的な生徒指導に比べ、負担感(時間的にも精神的にも)はるかに軽いものになっていきます。
○このような生徒指導の進め方は、学力向上(特に学力格差の問題)にも関わることであり、学校生活への不適応や不登校などの問題にも結びついています。
○各学校で行っている「生徒指導会議(生徒指導委員会・生徒指導部会)」も、各学級や学年などで発生したトラブルについての情報交換で終始していた面があります。積極的な生徒指導に力を入れている学校では、各学年や委員会と連携しながら、児童生徒をよりよく向上させるための戦略的な内容について検討・発信することを大切にしています。
○生徒指導と学習指導は、両輪の様なものです。授業スキルの上達とともに、児童生徒を理解し指導していく力も、優れた授業づくりには大切な土台となります。(学力を向上させている教師の多くが、児童生徒を健全に育成する力があり、優れた学級経営を行っている)
〇「先の先」を意識した生徒指導を全校で推進していくことで、トラブルの頻度が下がり、苦情が減るなどの効果もあります。信頼される学級・学校づくりという観点からも大切なのです。リスクが低減される分、攻めの学級・学校運営が可能となっていく面もあります。
○生徒指導を進める上で大切なのは、怒鳴りつけたり脅したりするような「力」に頼った指導をしないことです。謝らせたり反省させたりすれば終わりというような形式的な(教師の自己満足的な見せかけの)指導をしないことです。一部の力がある(と思っている)教師だけで指導しないことです。
○「積極的な生徒指導」で大切なのは、個人と集団を健全に育成していこうとする視点や発想です。授業をはじめ教育活動のあらゆる場面において、自己有用感や自己存在感などの自尊感情を育てていきましょう。
○生徒指導は全教職員で行うものです。児童生徒へのアプローチの仕方は違っても、共通理解・共通指導を大切にしましょう。
○児童生徒一人一人の人権を大切にすることは当然のことです。これからの生徒指導では、教育相談的な視点や特別支援教育に対する理解が益々重要となってきています。
○学校をあげて児童生徒一人一人を大切に育てていきましょう。そして保護者や地域の方々とともに協力しながら児童生徒を育てていきましょう。教育は、目の前の児童生徒を育てるとともに、その未来を育てる仕事です。

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